SEMとは？SEO、リスティング広告の違いをわかりやすく解説

近年のデジタルマーケティングにおいて、検索エンジンを活用したマーケティング施策（SEM）は必須となっています。

本記事では、SEMの基本概念から、SEOとリスティング広告の違い、それぞれの特徴や使い分けまで、実践的な情報とともに詳しく解説していきます。

SEMとは何か？ ウェブマーケティングにおける役割

検索エンジンマーケティング（SEM）は、Googleなどの検索エンジンを活用して、ウェブサイトの認知度向上や集客を行うマーケティング手法です。現代のデジタルマーケティングにおいて重要な位置を占めており、オンラインマーケティングに欠かせない要素となっています。

SEMの主な目的は、ターゲットとなるユーザーが関連するキーワードで検索した際に、自社のウェブサイトを上位に表示させることです。

SEMにより興味・関心の高いユーザーからのアクセスを獲得し、結果として売上やリード獲得につなげることができます。

具体的な効果として以下が挙げられます

SEMの2大要素：SEOとリスティング広告

SEMは大きく分けて「SEO」と「リスティング広告」の2つの要素で構成されています。

それぞれの特徴を理解し、うまく組み合わせることで、より効果的なマーケティングを行うことができます。

SEO（検索エンジン最適化）とは？

SEO（Search Engine Optimization）は、検索エンジンの検索結果において、自然検索でウェブサイトの表示順位を上位に表示させるための施策です。

ユーザーの検索意図に合った質の高いコンテンツを提供し、技術的な最適化を行うことで、検索エンジンからの評価を高めていきます。

SEOのメリット・デメリット

メリット	デメリット
広告費用が不要（運用費用は必要） 継続的な効果が期待できる ユーザーからの信頼度が高い 長期的なブランド構築に貢献	効果が表れるまでに時間がかかる（通常3〜6ヶ月） 検索エンジンのアルゴリズム変更の影響を受ける 競合が多いキーワードでは上位表示が困難

SEOのメリットは、広告費をかけずに自然検索で上位表示されれば継続的なアクセスが見込める点、そしてユーザーからの信頼感を得やすい点です。

デメリットとしては、効果が出るまでに時間がかかり、検索エンジンのアルゴリズム変更に左右される可能性があること、そして競争の激しいキーワードでの上位表示は難しいことが挙げられます。

そのため、SEOは中長期的な戦略として、時間をかけてじっくり取り組む必要があります。

SEOの具体的な施策例

SEOを成功させるためには、以下のような具体的な施策を計画的に実施する必要があります。

1. コンテンツ最適化

ユーザーにとって価値のある、質の高いコンテンツを作成することがSEOの根幹です。

ターゲットキーワードを適切に盛り込みつつ、ユーザーの検索意図を満たす情報を提供します。ページを見たくなる魅力的なタイトルやメタディスクリプションを設定し、検索結果でのクリック率向上を狙います。

タイトルだけ魅力的でも実際の内容がおいついていない場合は評価されないこともありますので注意が必要です。

2. 技術的対策

Webサイトの技術的な側面を最適化することで、検索エンジンがサイトをクロールしやすく、インデックスしやすくなります。ページ表示速度の向上はユーザー体験の向上にも繋がり、モバイルフレンドリー対応は必須です。

関連記事：httpとhttps両方表示されるサイトはSEO評価が下がる？

3. 内部施策

サイト構造を最適化することで、検索エンジンがサイトの内容を理解しやすくなり、適切なページが評価されやすくなります。内部リンクを効果的に活用し、ユーザーの回遊率向上にも繋げましょう。

トピッククラスター構造も意識すると上位が狙いやすいです。

リスティング広告（検索連動型広告）とは？

リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページに表示される有料の広告です。ユーザーが検索したキーワードに関連する広告を表示させることができ、クリックされた場合に課金される仕組み（PPC：Pay Per Click）となっています。

リスティング広告のメリット・デメリット

メリット	デメリット
即効性が高い（開始直後から効果が期待できる） 柔軟な予算調整が可能 詳細なターゲティングができる 効果測定が容易	継続的なコストが発生 クリック単価が高騰する可能性がある 競合が多い場合は費用対効果が低下 広告停止と同時に効果がなくなる

リスティング広告の最大のメリットは、広告出稿後すぐに効果が現れる即効性です。予算も柔軟に設定でき、ターゲティング精度も高いため、費用対効果の高い施策が可能です。

しかし、継続的なコストが発生し、競合の状況によってはクリック単価が高騰する可能性もあります。

また、広告配信を停止すると効果も無くなるため、長期的なブランド構築にはSEOとの併用が効果的です。継続的な運用と効果測定、改善が重要となります。

関連記事：リスティング広告の種類｜GoogleとYahoo!の違いやフォーマットを紹介

SEOとリスティング広告、それぞれの違いを比較

SEOとリスティング広告両者の特徴を正しく理解し、効果的に活用するために、主要な観点から違いを比較してみましょう。

コスト

[比較表]

項目	SEO	リスティング広告
初期コスト	50-100万円	10-30万円
月額運用費	15-30万円	10-20万円
広告費	0円	予算設定による
費用対効果の特徴	長期的に向上	即効性がある

SEOは初期費用と運用費用がかかりますが、広告費は不要です。長期的に見ると費用対効果が高くなります。

一方、リスティング広告は初期費用が比較的安く、運用費用もSEOと同程度ですが、クリックされる度に広告費が発生します。すぐに効果を得られますが、継続的なコストが必要です。

どちらが適しているかは、ビジネスの目的や予算、そして長期的な戦略によって異なります。初期投資を抑えたい場合はリスティング広告、長期的な視点で投資効果を高めたい場合はSEOがおすすめです。

スピード

両者の効果が表れるまでのスピードには大きな違いがあります。事業の緊急性や目標に応じて適切な選択が必要です。

SEOは効果が出るまでに3～6ヶ月程度かかるため、長期的な戦略が必要です。一方、リスティング広告は即効性があり、開始直後から効果測定が可能です。

短期間で集客したい場合はリスティング広告が適していますが、継続的なコストがかかります。SEOは時間をかけて上位表示を目指しますが、一度上位表示されると安定したアクセスが見込めます。

どちらを選ぶかは、事業の目標や予算、そして求める効果のスピードによって判断しましょう。予算がある場合は両方するのがおすすめです。

はじめは予算をリスティング広告9割、SEO1割といった分配にして徐々に8:2、7:3といった風にしていくとバランスよくなります。

継続性

施策の継続性という観点から、両者には明確な特徴の違いがあります。

SEOは時間をかけて効果が現れますが、一度上位表示されると長期的なアクセス獲得が見込めます。コンテンツは資産として蓄積され、継続的な価値を生み出してくれます。SEOの競争は激しい部分もあるので順位をキープするためのリライトなどの工数が必要な場合もあります。

一方、リスティング広告は広告費用を支払っている間のみ効果が持続し、停止すると効果も消失します。予算に応じて柔軟な運用が可能な反面、競合の動向に左右されやすいという特徴があります。どちらの手法も継続的なメンテナンスと改善が必要です。

リスティング広告もアカウントを自社で持っている場合は今までのコンバージョンデータは資産となる部分もあります。

ターゲティング

[比較表]

特徴	SEO	リスティング広告
効果開始	3-6ヶ月	即日
効果持続	長期的	予算投下中のみ
ターゲティング	限定的	詳細な設定可能
コントロール性	低い	高い

SEOは検索ユーザーの意図に合ったコンテンツを作成することで、自然な集客を実現します。幅広いキーワードでリーチできますが、ターゲティングの精度は高くありません。

一方、リスティング広告は地域、時間帯、デバイスなど詳細なターゲティング設定が可能で、特定のユーザー層へピンポイントに訴求できます。費用はかかりますが、即効性があり、効果測定も容易です。

目的に合わせてSEOとリスティング広告を使い分ける、あるいは併用することで、より効果的なWebマーケティング戦略を実行できます。

どちらを選ぶべき？SEOとリスティング広告の使い分け

結論、両方行うことが望ましいですが、費用の問題もあると思います。

ここではSEOとリスティング広告の特徴やおすすめするケースを説明します。

短期的な成果を求めるならリスティング広告

以下のような場合はリスティング広告が適しています

短期間で集客効果を高めたい場合、リスティング広告は非常に有効です。特に、新規サービスの認知度向上、季節商品のプロモーション、期間限定キャンペーンなど、即効性が求められる状況で大きな効果を発揮します。予算に応じて広告表示を調整できるため、費用対効果の高い短期的な集客施策として最適です。

長期的な資産構築を目指すならSEO

以下のような場合はSEOが適しています

長期的な視点でWebマーケティングに取り組むなら、SEOは欠かせません。特に、ブランディング強化や安定した集客基盤の構築、そしてコンテンツマーケティングによる顧客育成などを目指す場合、SEOは非常に効果的です。

時間と労力は必要ですが、長期的な資産としてWebサイトの価値を高め、持続的な成長を実現します。

理想はSEOとリスティング広告の併用

最も効果的なアプローチは、SEOとリスティング広告の両者を組み合わせた統合的なSEM戦略です。

以下のような相乗効果が期待できます

SEOとリスティング広告を併用することで、Webマーケティングの効果を最大化できます。

リスティング広告で即効性のある集客を実現しつつ、SEOで長期的な資産を構築。

両者のデータはグーグルアナリティクスなどで相互に活用でき、効率的な改善も可能です。

さらに、ブランド露出を高め、リスク分散も実現。統合的なSEM戦略で、安定したWebマーケティングを実行するのが理想です。

リスティング広告を始めるには？基本的な手順

Google広告アカウントの作成

リスティング広告を開始するための初期設定として以下の手順となります。

Google広告を始めるには、まずGoogleアカウントを作成し、広告アカウントを新規登録します。

クレジットカード情報などの請求情報と、ビジネスに関する基本情報を入力しましょう。次に、キャンペーンを設定します。1日の予算、広告を表示する地域、キーワード、そしてパソコン・スマホなど配信するデバイスを選択します。

初期設定を正確に行うことで、スムーズにリスティング広告を開始し、広告配信が行えます。

キーワード調査と選定

効果的なキーワード戦略のために以下の点に注意が必要です。

[比較表]

マッチタイプ	特徴	使用例
完全一致	指定したキーワードと(ほぼ)完全に一致	[SEM 対策]
フレーズ一致	フレーズを含む検索に表示	“SEM 対策”
部分一致	関連する検索全般に表示	SEM 対策

関連記事：【Google 広告】部分一致とは？シグナルの性質や使い方について解説 インテントマッチ

リスティング広告で成果を上げるには、ユーザーの検索意図を理解し、適切なキーワードを選定することが重要です。商品やサービスに関連するキーワードだけでなく、競合が使用しているキーワードも調査しましょう。

また、ニーズを具体的に表す長尾キーワードも効果的です。キーワードのマッチタイプを理解し、完全一致、フレーズ一致、部分一致を使い分けることで、より精度の高いターゲティングを実現し、広告費用対効果を最大化できます。

Google広告において2024年7月から「部分一致」は「インテントマッチ」に名称を変更していますがまだ部分一致という認識が多いので部分一致としています。

参考：https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/consumer-insights/consumer-trends/why-intent-match/

広告文の作成

効果的な広告文作成のポイント

ユーザーにクリックを促すには、商品やサービスのメリットや独自性を明確に伝えられる広告文が必要です。簡潔で分かりやすい言葉で、ターゲットユーザーにとっての価値を効果的に訴求しましょう。

Google広告には文字数制限があるため、限られた文字数の中で効果的なメッセージを伝える必要があります。キーワードを盛り込みつつ、簡潔で興味を引く広告文を作成しましょう。

サイトリンクやコールアウト表示オプション(アセット)などを活用することで、広告の視認性を高め、クリック率向上に繋げられます。電話番号や場所表示は、ユーザーの利便性向上にも貢献します。

関連記事：【Google広告】広告の有効性が低い?上げ方を徹底解説

入札価格の設定

適切な入札戦略の設定が重要です

手動入札と自動入札の2つに大きく分類されます。

手動入札はGoogle広告においては「拡張クリック単価」が廃止され今後はあまり採用されない流れになっていきます。

関連記事：Google広告の拡張クリック単価が終了 今後の運用方法は【2024年10月から】

自動入札は、GoogleのAIを活用して入札価格を自動的に最適化してくれる機能です。コンバージョン最大化や目標コンバージョン単価など、設定した目標に基づいてAIが自動で入札額を調整するため、運用の手間を大幅に削減できます。

特に、多数のキーワードを扱う大規模なキャンペーン運用に適しています。機械学習により、状況変化への対応も迅速に行えるため、常に最適な入札価格で広告配信が可能です。

リスティング広告運用を成功させるためのポイント

効果測定と改善

効果的なPDCAサイクルを回すために、以下の指標を定期的に確認し、改善を行うことが重要です。

クリック率、コンバージョン率、費用対効果、平均クリック単価、品質スコアなど、主要な指標を分析することで、リスティング広告の効果を正しく評価できます。これらの指標を定期的にモニタリングし、改善に繋げましょう。

関連記事：Google広告の品質スコアとは？上げ方についても解説

パフォーマンス向上のためには、キーワードの見直し、広告文のA/Bテスト、入札価格の最適化、除外キーワードの追加など、様々な改善策を継続的に実施していく必要があります。

関連記事：【Google広告】ABテストで広告の効果アップ！？やり方を解説
関連記事：初心者でもわかる！Google広告の除外キーワード設定ガイド

[比較表]

指標	目安となる数値	改善方法
CTR	2%以上	広告文の改善、キーワードの見直し
CVR	1%以上	ランディングページの改善、ターゲティングの精緻化
ROAS	200%以上	入札単価の調整、コンバージョン経路の最適化

目安となる数値以下の場合は改善が必要です。商材にもよりますがうまく広告が回れば平均CTR20%、平均CVR10%、ROAS500%以上になるケースもあります。

ツール活用による効率化

運用効率を上げるための主要なツールについて解説します

Google広告エディタを使用すれば、大量のキーワードや広告文を効率的に管理・編集できます。オフラインでの作業も可能なので、時間節約にも繋がります。特に大規模なキャンペーン運用に役立つツールです。

Google Analyticsは、Webサイトへのアクセス状況を詳細に分析できるツールです。ユーザー行動を把握することで、リスティング広告の効果測定だけでなく、Webサイト全体の改善にも役立ちます。

キーワードプランナーは、リスティング広告に最適なキーワードを見つけるためのツールです。検索ボリュームや競合状況、クリック単価の目安などを確認し、効果的なキーワード戦略を立案できます。

上記以外にもサードパーティーのツールなどがあります。

まとめ：SEMでWebマーケティングを成功させよう

SEMを成功させるためには、SEOとリスティング広告それぞれの特徴を理解し、適切に組み合わせることが重要です。

1. 短期的な施策として

2. 長期的な施策として

3. 統合的なアプローチ

最後に、SEMはデジタルマーケティングの要となる施策です。本記事で解説した内容を参考に、自社のビジネス目標に合わせた最適なSEM戦略を構築してください。

[比較表：最終まとめ]

項目	SEO	リスティング広告	併用のメリット
費用対効果	長期的に高い	即効性がある	安定的な投資効果
運用負荷	中～高	中	相互データ活用で効率化
リスク	アルゴリズム変更	競合増加による単価上昇	リスク分散が可能
適している目的	ブランディング・資産構築	即効性のある集客	総合的なマーケティング戦略

自社にあったSEMマーケティングを実施してビジネスを成長させていきましょう。リスティング広告の運用ならナゾックスにおまかせください。

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